東御市の10坪住宅

都心から離れ、地方で独り住まいを始める単身者のための小さな住宅の計画です。浅間山に連なる雄大な自然を望む80 坪の敷地に、予算1000 万円という条件下で、健康的に住まえる小屋のような10 坪の住宅を設計しました。稲穂に浮かぶ小船のような佇まいの中に、立体的な変化を重ねることで多様な居場所ができる伸びやかな空間を創ることを目指しました。ダイニングのピクチャウィンドウは四季折々にたなびく田園風景で彩られ、さまざまに切り取られた開口から射す光の移ろいは刻々と内部空間に変化をもたらします。コロナ禍やウッドショックといった厳しい社会情勢の中であえて建築するということを問いながら約3年の歳月を経て完成しました。

2020.01~2022.08
計画敷地:長野県東御市
主要用途:個人住宅
既存用途:ひとり暮らし
敷地面積:263.95 ㎡
建築面積:24.03 ㎡
延床面積:33.89 ㎡
構造  :木造
高さ  :4.885 m
階数  :地上2階
設計監理:山梨綾菜 / flat class architects
共同設計:石田敏明建築設計事務所
構造設計:DN-Archi
予算  :1000万円台
施工  :有限会社金澤建設工業
撮影  :鈴木賢一

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駒込の住宅

JR駒込駅からほど近い窪地にひっそりと構えた16坪程の狭小敷地に建つ住宅です。賃貸利用の可能性も考慮しフレキシブルなプランをローコストで実現することが求められました。敷地の四周から最低限の引きをとり、3層重ねただけのシンプルな計画ですが、人のよりどころとなる場所の手ざわりを残したいと考えました。そこで私たちは、人と建物が接触する床を、質感のある地面のように扱うことを考えました。外から入り込んだ地面がそのまま3階までぬるぬるとつながってゆくシークエンスの中に、書斎・リビング・キッチン・ホール・趣味部屋と生活の場を連ねます。リビングにはホールとつながる吹抜けやインナーバルコニーを配置することで決して多くはない窓からも光がめぐるように計画しました。外壁はシルバーに塗装することで、余白のない周辺環境の中でも外部の環境や陽の光を映し、刻々と変化する表情を持つことを意図しています。都心の限られた環境の中でもより豊かによりおおらかに生活できる場所となることを望んでいます。

2021.04~2021.02
計画敷地  :東京都豊島区
主要用途  :個人住宅
敷地面積  :54.21 ㎡
建築面積  :31.88 ㎡
延床面積  :84.99 ㎡
構造    :木造準耐火
高さ    :8.795 m
階数    :地上3階
設計監理  :渡邉圭+山梨綾菜
構造設計  :工藤構造設計
施工    :株式会社栄建
不動産企画 :株式会社FASTORY
予算    :2000万円台
撮影    :小川重雄

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小岩の住宅

敷地はJR小岩駅からしばらく歩いてたどり着く住宅街の一角にあります。近くに流れる大きな河と隣にある中学校のおかげで空は高く抜けています。夫婦とひとりの子供が住まうこの家は、いまだこない未来の経験に外骨格をあたえるように、いびつに小さな場所を積み上げて計画しました。時には切り取られたスラブが浮いて視線や光が抜け、家族の気配・街の気配をつなぎます。外から内へ、内から外へ、視線と動線が絡みつくように開口や階段を配置し、近隣との閉じぬ開かぬ関係をつくりました。

2019.04~2021.05
計画敷地:東京都葛飾区
主要用途:個人住宅
敷地面積:58.10 ㎡
建築面積:26.72 ㎡
延床面積:71.51 ㎡
構造  :木造
高さ  :6.450 m
階数  :地下1階/地上2階
設計監理:渡邉圭+山梨綾菜
共同設計:Kawaguchi + Fukino
     culture craft company
構造設計:多田修二構造設計事務所
施工会社:株式会社栄建
予算  :2000万円台
撮影  :長谷川健太

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下高井戸のマンションリノベーション

下高井戸の築37年のマンションの内装リノベーションです。料理好きな施主のライフスタイルに沿い、47m2の広さながらキッチンを中心に配置し、リビングダイニング・キッチンバックヤードにほとんど空間を割り当てました。料理を楽しみながらカウンターに座っている来客者とコミュニケーションできる時間が過ごせることを望んでいます。

2021.03~2021.07
計画敷地:東京都世田谷区
主要用途:個人住宅
延床面積:47.92 ㎡
設計監理:山梨綾菜
撮影  :flat class architects

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田無のマンションリノベーション

田無市の築43年のマンションの内装リノベーションです。壁・天井を3色の緑のグラデーションで仕上げ、西向きのバルコニーから入る光により刻々と色彩が変化する室内を目指しました。

2021.01~2021.05
計画敷地:東京都田無市
主要用途:個人住宅
延床面積:60.48 ㎡
設計監理:山梨綾菜
撮影  :flat class architects

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杉並建築展2020「これからの価値」

杉並区とその周辺を拠点とする建築家による展示企画です。
今年のテーマは「これからの価値」
~ Values of the future~
コロナ渦の中による開催で、建築を通しての様々なこれからの価値がみつけられる展示を趣旨としています。ふるまい時代のセカンドハウスと街路のホテルリノベーションの作品を展示しました。作画は街路のホテルリノベーションの心象風景のボールペン画を展示しました。
 
ブックレット:ふるまい時代のセカンドハウス・街路のホテルリノベーション
 
寄稿文:
人類はCOVID-19によって全世界共通の問題にさらされることで、文化・歴史・地域・性別をも超えて、ひとりひとりのふるまいのあり方を問われ、観念よりも身体、集団よりも隣人といったより初源的なアプローチに目を向けさせられているように感じます。個々人は如何にふるまい、如何に生きるかを考え続けることを突き付けられています。今、世界から身体までが一連なりに繋がった“ふるまいの時代”が始まったのではないかと感じています。
(渡邉圭)
 
COVID-19は、社会を制限するだけでなく、解放する方向にも働きかけるきっかけとなっています。場所にとらわれない働き方を自由にする建築の創造や、都市と地方を横断した新たなコミュニティとよりそう暮らし方の提案が、より強く人々から求められていると思います。
(山梨綾菜)
 

展示期間:2020.09.01~09.11
展示場所:杉並区役所2階
     杉並区民ギャラリー

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街路のホテルリノベーション

創業60年の寿司屋に幕を閉じ、海外観光客のための宿泊施設の改修です。京成立石駅の仲見世商店街からほど近い再開発事業の区域内に位置しており、昼間から商店街で飲み歩く人の風景が一種の風物詩となっています。立石の商店街の雰囲気を引込み、外部の路地がそのまま続いていく体験を想起させることで、旅行という非日常感をホテルの中に取り込むことを考えました。既存の黒石張りの柱、玉砂利床は残し、新しく構成する宿泊スペースを白で対比させることで、既存の空間と新しさを融合させることを試みました。リビングも既存石タイルを再利用、すだれでかるく囲うことで街路と領域を分けています。のホテルはワンフロア約100㎡を6~8名の一組に貸し出すことを想定しています。みんなで集まれるリビングはもちろんのこと、キッチン・大型冷蔵庫・洗濯機・乾燥機も完備しており長期滞在することも想定されています。な大人数用の滞在型宿泊施設は、家族だけでなく、気心の知れた友人たちと数日を共有することのできる稀有なビルディングタイプになると考えられます。

2019.11~2020.07
計画敷地:東京都葛飾区
主要用途:ホテル
既存用途:寿司屋
建築面積:100.73 ㎡
延床面積:297.54㎡(改修面積182.55㎡)
構造  :S造
階数  :地上3階(改修範囲2・3階)
設計  :渡邉圭+山梨綾菜
施工  :有限会社田工房
撮影  :flat class architects

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ふるまいの時代のセカンドハウス

武漢で原因不明の肺炎が蔓延し始めたころ、ひとつの依頼が舞い込んできました。秩父にある祖父の家があそんでいるため、すでに所有している戸建て住宅とは別に、セカンドハウスとして建替えたいというものです。次第に社会的にコロナが蔓延し、依頼者夫婦もリモートワーク中心となりました。セカンドハウスには仕事場としての側面も増え、アフターコロナの社会の中で、如何に働き、集まり、生きていくのかということをテーマに計画することになりました。ローコストながら身体的スケールに呼応させることを意図し、1820mmモジュールを採用。高さ方向も1820mmで積み重ね、大きなジャングルジムのような構造としています。家全体が小屋組みのような空間となり、2階からの光がジャングルジムを通して影を落とし、風が通り抜け、柱がひとのよりどころとなります。初めに骨格を作り、徐々にDIYで好きに作り足してゆく、緩い建築です。パブリックに集まりにくい社会の中で、生活拠点とは少し違うハーフパブリックなスペースを所有することで、近しい人たちと集まる場所を持つことができます。ここでは知人や地域へも緩やかにシェアすることができる場所となるセカンドハウスを目指しました。

2019.12~2020.05
計画敷地:埼玉県秩父市
主要用途:個人住宅
家族構成:夫婦2人+犬2匹
敷地面積:193 ㎡
建築面積:57 ㎡
延床面積:88 ㎡
構造  :木造
高さ  :5.91m
階数  :地上2階
設計  :渡邉圭+山梨綾菜

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武蔵境のマンションリノベーション

三鷹市の築20年のマンションの1室のリノベーションです。

2019.10~2020.03
計画敷地:東京都三鷹市
主要用途:個人住宅
延床面積:62.68 ㎡
構造  :RC造
設計  :渡邉圭
撮影  :flat class architects

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熊本地震震災ミュージアムプロポーザル案

壮大な山景に囲われた敷地に建つシンボリックな形態をした東海大学キャンパス1号館。その姿は震災の悲劇を生々しく感じさせ、そこだけ時が止まり強い存在感を放っていました。それとは対比的に、見渡す限り山々に囲われた環境はただ美しく、その場に佇むこと自体に感動とたとえようのない気持ちよさを感じました。泰然自若としたおおらかな自然とその驚異の両方が共存するこの敷地に作る新たな震災ミュージアムは、主張するでもなく、オマージュするでもなく、この大地の一部となり、自然と共存することに意味があると感じました。そこで私たちは、阿蘇の田園風景であったり、火山口であったり、流れ出る滝であったり、当たり前のようにそこに風景となるミュージアムを、居場所とすることを考えました。田園風景を歩いているようなランドスケープによる、建築と外構が一体的に体験できるフィールド展示空間で、自然と視界に入る展示物との回遊性を目指しました。

2019.10~2019.12
計画敷地:熊本県阿蘇郡南阿蘇村
主要用途:震災ミュージアム
敷地面積:27000 ㎡
延床面積:1300 ㎡
構造  :木造
階数  :地上1階

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