街路のホテルリノベーション

創業60年の寿司屋に幕を閉じ、海外からの観光客の宿泊施設として改修するプロジェクトです。京成立石駅の仲見世商店街からほど近い、再開発事業の区域内に位置しており、昼間から商店街で飲み歩く人の風景が一種の風物詩になっています。既存の建物は宴会場として利用するための複数の和室から構成されており、これをホテルとして再生するため、どのようにして要件・デザインを更新するのかが主題となりました。立石の商店街の雰囲気を引込み、外部の路地がそのまま続いていく体験を想起させることで、旅行という非日常感をホテルの中に取り込めるのではないかと考えました。既存の黒石張りの柱、玉砂利床は残し、新しく構成する宿泊スペースを白で対比させることで、既存の空間と新しさを融合させることを試みました。既存の仕上材である玉砂利をちりばめたモルタルの床を街路に見立て、そこから寝室の小上がりに上がり込む計画とし、リビングも既存の石タイルをそのまま再利用し、すだれでかるく囲うことで廊下と領域を分けています。これは立石仲見世商店街の内部から外部へ外部から内部へマトリョーシカのように連続する場所性を、ホテル内部に持ち込もうと試みたものです。
このホテルはワンフロア約100㎡を6~8名の一組に貸し出すことを想定しています。みんなで集まれるリビングはもちろんのこと、キッチン・大型冷蔵庫・洗濯機・乾燥機も完備しており長期滞在することも想定されています。
アフターコロナの社会で宿泊施設は一様に苦境に立たされていますが、今回計画したような大人数用の滞在型宿泊施設は、家族だけでなく、気心の知れた友人たちと数日を共有することのできる稀有なビルディングタイプになると考えられます。
従来のホテルとしての宿泊機能を超えて、ハーフパブリックに集える場所を提供することで新たな共有空間が生まれることに期待します。

2019.11~2020.07
計画敷地:東京都葛飾区
主要用途:ホテル
既存用途:寿司屋
建築面積:100.73 ㎡
延床面積:297.54㎡
     (内改修面積182.55㎡)
構造  :S造
階数  :地上3階(内改修範囲2・3階)
設計  :渡邉圭+山梨綾菜
     flat class architects
施工  :田工房
撮影  :Kei Watanabe

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