前橋の住宅

大きな原っぱのある公園の向かいに建つ、夫婦とふたりの子供のための住宅です。
敷地と対峙して我々が初めに感じたのは、この公園のようなおおらかさを住宅内に引き込むことはできないかということでした。夫婦からは、公園に対しては開きたいが、外部からの視線は遮断したいという強い要望もあったため、典型的な地方都市の閉じた住宅街の中で、プライバシーを保ちながら、如何に公園とかかわり、内部に豊かな公園らしさをつくるかが住宅の主題となりました。我々は北側の公園に対して関係を作りやすく、内部に対しても室の隣接性が高い田の字プランを採用し、5つのフロアレベルを設けることで、住宅のどこにいても公園を望むことができ、また、公園の持つ不均一な場所性を立体的に構築することを試みました。それぞれのフロアレベルは身体的なスケールから決定されており、具体的には、キッチンを基準として、寝室は腰高まで埋められた高さ、踊り場は胸の高さ、リビングは目線の高さ、ワークスペースは大人がめいっぱい手を伸ばした高さになっています。また天井の高さは冗長に決定することで、内部の立体的なつながり方を複雑化し、公園への開かれ方によって寛容に場所の質がつくられることを意図しています。例えばキッチンで家事をしているとリビングでくつろぐ家族の様子が見え、その向こうには公園の木々が広がっていきます。南側には子供たちを自由に遊ばせておける小庭がり、隣地の既存塀がアイストップとなって内部の質感と対比を作ります。上を見上げれば勉強している子供の様子が見え、その奥には空へと抜ける開口が開き、小上がりには子供の絵が飾られつつ少し開いた引戸から寝室を介して前面の通りが見通せます。キッチンからだけでなく、家のどこにいても常に関係性に奥行きがあり、行為の場所とその向こうにある環境とが多層化された空間になるよう全体の構成を心掛けました。ふるまいと環境とが多層化されることで、四季の景色に呼応した生活が行われたり、刻々と変化する日差しとの関係の中で、居場所を変えたりと、実際の物質的な境界を越えて内外の響きあった空間を立ちあげることができていることを願っています。

2018.04~2019.09
計画敷地:群馬県前橋市
主要用途:個人住宅
家族構成:夫婦2人+子供2人
敷地面積:244.31 ㎡
建築面積:70.88 ㎡
延床面積:112.86 ㎡
構造  :木造
高さ  :5.939m
階数  :地上2階
設計  :渡邉圭+山梨綾菜
     flat class architects
施工  :橋詰工業
撮影  :小川重雄
スケッチ:Kei Watanabe

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